悩む人は弱い人?「悩む=真剣に向き合っている」と考えられないものか?

臨床心理士 米村 高穂

私はカウンセリングの中で大切にしている指標があります。それは、「その人が葛藤できるかどうか」ということです。人は自分で抱えきれないようなことに直面すると、それを避けたり、時には周囲のせいにしたりして、なんとなく自分を守ろうとするものです。それがうまくできなくなると、人は心に様々な問題を抱えてしまいます。最近ではずいぶん減りましたが、それでも時折「不登校の子は怠けているのでは?」等という言葉を聞くことがあります。私はとても悲しい気持ちになります。心に問題を抱える人の多くは、自分がどのように苦しいのかを上手く説明できないことが多いからです。それが子どもとなれば尚更です。「怠けている」と言ってしまっては、言葉にしにくくなってより誤解されてしまいます。私は、悩む人は「見えないところで真剣に向き合っている状態」等と、ニュアンスが変わらないか等と考えてしまいます。不登校の当事者の多くが学校に行っていないことの後ろめたさを大なり小なり抱えています。だから、人に言おうにも、頭の中で言葉を考える意欲がそもそもわきにくいですし、「どうせわかってもらえない」と諦めやすくなってしまいます。「悩む=真剣に向き合っている」と思ってくれる人が彼・彼女らの身近にいて、集団としてそのような雰囲気が作れたら、もしかしたら心を開いてくれるかもしれない、そんな日がきてほしいと思います。

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