社会で生きていくために何が必要なのか?人に頼る力「相談力」
これまでは子どものことを中心にコラムを書いてきましたが、今回は大人が社会で生き抜くためにどんなことができるかを考えてみたいと思います。私は、これまで働く人のメンタル的な支援にも携わってきました。その間、製造業や公務員、教育・医療・福祉関係と様々な職場の人と話をする機会に恵まれました。病気になってしまった人、病気にはなっていないが仕事の方向性や対人関係で悩む人、部下の教育に悩む人、会社の経営をされている人たちです。そのような色々な会社と20年近くお付き合いをしてきて、多くの職場の上司が大切なこととして言うのは、「ホウレンソウ(報告連絡相談)ができない社員が一番困る」ということでした。また、ある会社では、「部下が相談にこない…どうしたら相談しやすい職場が作れるかセミナーをやってください」と言われたこともあります。その会社で上司の言葉を拾ってみると、できない社員に向ける言葉に「甘えている」「怠けている」という発言がしばしば見られました。つまり、「相談に来てほしい」というメッセージと「甘えるな」に論理矛盾を起こしていたということです。これでは、相談に行きにくい雰囲気や企業風土が作られてしまって、部下は相談に行きにくくなってしまうでしょう。
高度に分業化された現代社会において、例え自営業だとしても、“独りだけで”運営するのは不可能です。会計であれば会計士に頼るだろうし、税金のことであれば税務署に相談に行くこともあるでしょう。あるいは、関連企業の力も借りながら一つのものを作り上げていかないと仕事はできません。会社でメンタル不調を起こす人の中には「周囲にうまく頼れないこと」がしばしば見られます。
このように考えてみると、私たち大人も、仕事や家庭のことで悩んだ時に、人にうまく「頼る」ことはまだまだやってみてもいいと思います。子どもや保護者をサポートする社会資源は、この30年で格段に増えたと思いますが、子どものことで悩む保護者の孤立感はまだまだ大きいと思います。のばす会の「生きる力」というのは、「人に頼る力」も含まれるのではないでしょうか。
