人は相手の言葉をそのまま受け取るのでしょうか? 言葉から“こぼれ落ちる”ものがある
私が大学院時代に指導教員の先生から、「臨床心理士は、言葉から“こぼれ落ちる”ものを拾うのが仕事なんだよ」と言われたことがあります。先日、我が家にソーラーパネルの営業に来た方がいました。その方は、「今なら無料です」「だからぜひ」とアピールを必死にしていました。そのことを妻に報告すると、「ただより怖いものはない」と一蹴されました。その時、上記の先生の言葉を思い出したのです。
人は言葉だけを受け取るのでしょうか?例えば、不登校の子どもたちに関係が作れていない先生や焦っている母親が「絶対学校に行った方がいいよ。将来のためになるから」と言ったところで、子どもたちはどのように受け取るでしょうか?子どもは「自分たちの保身のためじゃないか?」とか「全然自分の気持ちをわかってくれない。自分の思いばかりじゃん…」などと、先生や母親の「言葉からこぼれ落ちるもの」を受け取るのではないでしょうか?私はこういうズレを思うと、言葉も大切なのですが、それ以前の子どもの現状に対する「認識」「理解」「感情」などが大切ではないかと考えます。逆に言えば、どれだけ良い言葉を言っても、「甘えている」「怠けている」などと思っているようでは、最初の営業マンと同じような“胡散臭さ”が相手に伝わると思います。ちなみに、カウンセリングを受ける意味の一つは、このような「心構え」をつくることも含まれます。だから、ちょっと受けただけではダメで、積み上げるように一定期間受ける必要があるのです。人の価値観には、つくられてきた歴史や背景がありますから、おいそれと変わることの方が珍しいと思います。
皆さんも、自分の発している「言葉」のチェックはされるかと思いますが、言葉から「こぼれ落ちる」相手に向けている感情や理解も見直してみるといいと思います。なぜ、目の前の大切な人に伝わらないのか、わかり合えないのかが見えてくるでしょう。自分の凝り固まった考えをほぐすには時間がかかりますから、慌てず冷静に話を聴いてくれて、ポツリポツリとヒントくれる専門家に頼るのも一つだと思います。
