なんでそんなことに「こだわる」の?

「こだわり」―皆さんはどのようなイメージを持ちますか?「こだわりのラーメン」と言われれば「おいしそう」と思うかもしれませんし、「些細なことにこだわってばかりで、全然前に進まない」と言われれば「やりたくない言い訳やなまけ」と否定的な思いが湧くかもしれません。今は、どちらかというと後者のイメージで使われることが多いのではないでしょうか。

今回は発達障害の体験世界から「こだわり」について考えてみたいと思います。こうした子どもたちは、物事を認識する力は持っているものの、人との関係を通して得られる認識が十分にできないことがあります。つまり、私たちが「当たり前」と思っていることでも、「わからない」世界と体験されている可能性があるということですね。また私たちが、大勢の人がガヤガヤしている中で目の前の人と会話が出来るのは、多くの情報に対して優先順位をつけ、捉え分けているからです(「カクテルパーティー効果」と言います)。つまり、発達障害の傾向があることで、多くの情報が一度に迫ってくるような体験をしてしまうことがあります。だからパニックになりやすいわけですね。私たちも、見知らない所にポンと置かれて(例:全く知らない所へ人事異動になったり)、やり方もわからないのにいきなり色々なことがお願いされたら不安になるのと似ているかもしれません。このような時、これまでうまくいった正解を重視して様々な対処行動をすることが「こだわり」と呼ばれる言動です。だから、こだわりを無理やりなくすのは逆効果です。しかし、上記の人事異動の例のように、知っている人が優しくその職場のことを教えてくれたらどうでしょう?それは多くの保護者が猫を見て、「ニャーニャーだね」と子どもに教えてあげるのと似ています。私たち大人は、「わからない」体験世界を生きている子どもたちにとっては、この世界との間にたっている存在なのかもしれません。

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