「それはあなたが言うことじゃない」

最近、カウンセリングの中でお母さんたちの話を聴いていると、思わずこのような言葉をお母さんから聴くことがあります。子どもが不登校になり、子どもの対応をめぐって、お父さん、おじいさん、おばあさんが善意(?)から「こうした方がいい!」と、子どもの気持ちはもちろん、お母さんさえ“飛び越えた”物言いをされているケースによく出会います。発言している人は良かれと思って言っているため、言われる側は不愉快になっているようです。お母さんがすることは、当然お母さん自身が決めることなので、内心「それはあなたが言うことじゃない」となるわけです。

どうしてこのようなことが起こるのでしょう?人は、生きていく中で様々な成功や失敗や学びを元に、価値観を身につけていきます。そうした価値観に外れたことを相手がすると、人は間接的に自分の価値観が否定された思いをすることがあります。それは内面的な矛盾や葛藤を生むことですから、相手に“自分の価値観に合う行動をしろ”という言い方になってしまうのです。そうすれば、自分が葛藤や矛盾を感じずに済み、自分を守ることが出来るからです。こうしたことは、無自覚に起こりやすいが怖いところです。

本当は、自分ではなく相手が判断することなのに“ごり押し”してしまわないように、注意が必要です。その意味で、私は「人と人は同じ」と考えるだけでなく、「人と人とは“違う”」と考えることも大切だと思います。今向き合っている人が、自分とは違う意志を持った“個人”でなんだと認められるようになると、私たちは冷静になれ、良い関係がつくれるのではないでしょうか。

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