第3回不登校で悩む親のためのお助け講座

特別支援学校の相談活動を通して~就学について考える~

   講師 元特別支援学校教諭 山本紳二

親が学齢期に子どもを地域の学校への就学を希望することは当然の考えです。しかし、現実には障がい状況により、必ずしもその選択が子どもに適したものでない場合があります。最近は通級指導や補助教員の設置等、さまざまな障がい児の支援の方法がとられるようになってきました。しかし、学習自体は内容、進度とも決められたスケジュールにそって進められます。子どもにとっては地域の学校の通常学級という環境が苦痛な場になるケースもあります。子どもにとって教育の場は“参加できる場“であり“安心できる場”でなくてはなりません。

就学を考えるとき、通常学級、特別支援学級、特別支援学校等、どのような教育環境が子どもに適しているかを最優先に考えて選択しなければなりません。特別支援学校を選択肢の一つとするときには、学校見学会や体験入学、教育相談などの機会が準備されていますので、まず活用してみることです。「とりあえず地域の学校で」「まずは通常学級で」という選択をする傾向があり、入学して1年もたたないで特別支援学校に転学するケースも多々見られます。大人にとっては「とりあえず」であっても、子どもにとっては失敗体験でしかなかったということです。幼少期における失敗体験の積み重ねが、成長や性格形成に大きく影響することを念頭においておくことが必要です。集団生活になじめず挫折感の積み重ねることで神経症などの二次障がいを引き起こし不登校になるケースもあります。

特性に応じた対応や小集団での学習、体験学習等、段階を経て通常学級や地域の学級へ移るケースもあります。子どもが安心でき、楽しく学校生活を送るためには、親の思いだけではなく、教育関係者のアドバイスを受けながら、現時点での適切な選択が求められます。

また、将来を考え特別支援学校という学歴にマイナスイメージを持つ人も多いようです。特に就職では不利になるのではないかという不安を感じてしまうようです。現在は制度的にも障がい者雇用の推進が図られており、特別支援学校の存在も社会で認識されています。学習自体が実生活に応じた内容であり、就職活動に際しては本人の特性を十分踏まえた上、雇用者側と必要な配慮等の情報交換をしながら円滑に適応できるような支援体制が比較的整っています。簡単なことではありませんが、子どもの障がいを受け止め、偏見を持たずにその都度最善の選択をすることが大人の役割だと考えます。

(第3回お助け講座の講演内容を山本先生に改めてまとめていただきました。)

 

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