押してもダメなときは、「引く」のではなく「待つこと」が大切?

臨床心理士 米村 高穂

   皆さん、「押してもダメなら引く」という言葉を聞いたことがあると思います。これは、日常生活でうまくいかないことがあった時の「発想の転換」としてよく言われることです。特に使われやすいのは、対人関係の場面ではないでしょうか?例えば、学校を休んでいる子に学校へ行ってほしいのは、保護者の切なる願いです。もちろん善意でやっているわけですが、「学校へ行った方がいい」「どうしていけないの?」などと、まずは大人が「押す」わけです。しかし、大抵はうまくいかないことが多い。子どもは、内心悪気はないし、むしろ学校へ行かなきゃという思いは誰よりも強いことが多いので、大人に「押されると」、むしろ引いてしまいます。私は、「押す」こと自体が悪いとは思いません。しかし、相手との信頼関係ができていなかったり、子どもの心の“準備”ができていない時期は、「待つ」ことが大切ではないでしょうか?子どもが不登校ではなくなった保護者の方のお話を聴いていると、多くの方が、最も大切なこととして「待つこと」の重要性を指摘しています。とは言っても、「待つこと」は忍耐が要求されることですから、これも至難の業です。当然、焦りが出てきます。だからこそ、“機が熟すまで”支え合う関係が重要なのではないでしょうか? 「ニュースレター第14号」より

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